発 疹
発疹とは、目で見て分かる皮膚の変化を指します。
皮膚自体の病気や、皮膚以外の病気、薬によるもの、心の病気によるものなどさまざまな原因で起こり、発疹の種類も非常に多彩です。
発疹の種類と原因
いろいろなタイプの発疹があり、原因もさまざまです。
大きく下のように分類されます。
斑(皮膚の一部の変色)
紅斑:真皮の血管拡張により赤くなる
紫斑:真皮内の出血による青あざ
白斑:メラニン色素の減少により色が薄くなる 「白なまず」とも呼ばれる
色素斑:色素や金属などの増加・沈着により色が濃くなる
膨疹(ぼうしん)
蕁麻疹(じんましん)のときにみられます。
皮膚の一部がぼわっと盛り上がり、赤みやかゆみを伴います。
ヒスタミンなどの作用で真皮内に浮腫が起こることによりできますが、1日以内に消えます。
丘疹、結節、腫瘤
皮膚の一部が隆起したもの。
一般にブツブツや、できものと表現されます。
丘疹:1cm以内の小さなもの
結節:1~3cm
腫瘤:3cm以上
水疱、膿疱(のうほう)
いわゆる水ぶくれ。発疹の中に液状の内容物が入っている状態
水疱:内容物が透明
膿疱:白や黄色のうみがたまった状態
嚢腫(のうしゅ)
真皮内にできた嚢状の発疹。
内容物が詰まった袋状になっている
発疹が現れる主な病気
発疹を起こす病気はたくさんあります。ここでは、注意が必要なもの、発症頻度の高いもの、特徴的なものとくに注意したい病気をとりあげました
全身性エリテマトーデス
38℃を超える発熱、関節痛などの症状が現れ、蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)と呼ばれる鼻から両頬にかけて現れる蝶のような形をした皮膚の赤みが現れたら、全身性エリテマトーデスが疑がわれます。
自己免疫疾患の代表的な病気で、男女比はおよそ1:10と、圧倒的に女性に多く発症します。
発疹はさらに体のいろいろな部位に現れ、そのほか体重減少、食欲不振、手指が紫色になる、脱毛、血尿、むくみなどさまざまな症状も起こってきます
手足口病
38~39℃の発熱に伴い、手のひらや足裏、口の中などに水疱性の発疹ができたときは、手足口病が疑われます。2~3歳の子どもに多い病気ですが、大人でも発症することがあり、成人の場合は重症化する危険性があるので特に注意が必要です。
手足口病の原因は、エンテロウイルスの感染によるものですが、このウイルスには「エンテロウイルス71型」「コクサッキーA6型」などいくつかのタイプがあり、その年によって流行する型は異なります。1度発症し免疫ができても、異なるウイルスと接触すると何度も発症することになります。
感染力は比較的強く、ウイルスの付着した食べ物などを介してうつることもあります。
手掌紅斑
のひらが不自然に赤い。それも、親指と小指の付け根の膨らんだところが斑状に際立って赤くなているようなら、手掌紅斑という症状かもしれません。
手掌紅斑は、肝臓の機能に問題があるときに現れ、慢性肝炎や肝硬変などの病気が疑われます。
肝臓に問題があるときは、胸や背中や上腕などにクモの巣状の毛細血管が浮き出る「クモ状血管拡張」という症状をともない、食欲不振や倦怠感を感じることがあります。
女性の場合、妊婦によって女性ホルモンの分泌量が増えることで、手掌紅斑が現れることがあります。