後縦靭帯骨化症

後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこつかしょう)とは、後縦靭帯(脊椎の椎体と呼ばれる部位を上下に連結するために縦走している靭帯)が、骨化し増大するため脊髄の入っている脊柱管が狭くなることで、脊髄・神経根が圧迫され知覚障害や運動障害等の神経障害を引き起こす病気です。
明らかな原因は不明ですが男性に多く発症し、発症年齢はほとんど40歳以上です。

この病気に関係するものとして家族内発症、性ホルモンの異常、カルシウム・ビタミンD代謝異常、糖尿病、肥満傾向、老化現象、全身的な骨化傾向、骨化部位における局所ストレス、またその部位の椎間板脱出など、いろいろな要因が考えられています。

後縦靭帯骨化症は黄色靱帯骨化症、前縦靱帯骨化症を合併しやすく、骨化部位は縦方向や横方向に増大していきます。骨化にともなってすぐに症状が出現するわけではありませんが、症状が重度になると、日常生活に障害がでてきて、介助を要することもあります。また軽い衝撃で四肢麻痺になることもあります。

この病気が起こると、最初の症状として首筋や肩甲骨周辺に痛みやしびれ、また特に手の指先にしびれを感じたりします。次第に上肢の痛みやしびれの範囲が拡がり、下肢のしびれや知覚障害、足が思うように動かない等の運動障害、両手の細かい作業が困難となる手指の運動障害なども出現してきます。重症になると排尿や排便の障害や一人での日常生活が困難となる状態にもなりえます。これらの症状は年単位の長い経過をたどり、良くなったり悪くなったりしながら次第に神経障害が強くなっていき、慢性化しながら進行していくことが多くあります。

中には軽い外傷、たとえば転倒して特に頭などを強く打たなくても、急に手足が動かしづらくなったりすることもあります。

前の記事

腰椎すべり症