熱がある(発熱)

発熱とは、体温が上昇している状態を指します。体温は、通常時は脳内の視床下部にある「体温調節中枢」の働きにより一定の範囲(平熱)に保たれていますが、何らかの原因により、体温調節中枢の設定温度が高くなると発熱が生じます。
発熱とは、何度以上?
日本では感染症法の届け出基準に「発熱とは体温が37.5°C以上を呈した状態をいい、高熱とは体温が38.0°C以上を呈した状態をいう」とあり、法令的にはこの感染症法の記載が発熱基準の根拠になります。なお、一般的には37・0~37・9℃を微熱、38・0~38・9℃を中等度熱、39℃以上を高熱と、3段階に分ける考え方もあります。
発熱の原因は?
発熱の原因として、主に下記のようなことが考えられます。
・細菌やウイルスへの感染 ・炎症を起こす病気 ・悪性腫瘍・薬剤の副作用
発熱の原因となる病気はたくさんありますが、熱の程度がどのくらいか、どのくらい長く続いているか、ほかの症状を伴っていないかなどにより、原因を考えます。

「熱がある」に関連する病気のリストはこちらをご覧ください。▶

高熱が出る病気

呼吸器系の症状を伴う病気

高熱や頭痛、筋肉痛や関節痛などの全身症状を伴うなら、インフルエンザを疑います。
インフルエンザはウイルスが鼻やのどの上気道などの粘膜に感染して起こる病気で、悪化すると呼吸困難、胸痛、チアノーゼ(唇、爪、指先などが紫色になること)なども現れ、急性気管支炎や急性肺炎などを発症します。

中枢神経系の症状を伴う病気

髄膜炎は、最初は発熱、頭痛、吐き気などの軽い症状なので「風邪かな?」と自分で判断しにくい病気です。次第に高熱とともに激しい頭痛や意識障害、けいれん、めまいなどを発症します。
髄膜炎の原因は、細菌やウイルス、結核、真菌(カビ)などの病原体が侵入する感染症が主ですが、髄膜炎・脳炎には、自分の免疫の作用で自己抗体を作成し、自己抗体が脳に炎症を引き起こす自己免疫性脳炎があります。

▶髄膜炎のページ

消化器系の症状を伴う病気

発熱とともに右上腹部が痛むならA型肝炎や肝膿瘍、胆石症などの病気の可能性があります。
A型肝炎は、初めは発熱、頭痛、筋肉痛、腹痛など風邪に似た症状ですが、熱や痛みの程度がかなり強く、全身のだるさ、食欲不振、吐き気や嘔吐、頭痛、筋肉痛、腹痛などが続きます。
A型肝炎は急性疾患で、肝臓の炎症からさまざまな症状を引き起こす一過性の病気で、ほとんどの人が回復しますが、まれに重症化して劇症肝炎となり、死亡する例もあります

発熱とともに右下腹部が痛む場合は、急性虫垂炎の可能性があります。りんく

尿路系の症状を伴う病気

発熱に加え、排尿時痛、頻尿、残尿感があり、腰痛や側腹部痛なども伴うなら急性腎盂腎炎が疑われます。
風邪や感染症の後、2週間程度経過したころ、血尿やタンパク尿、むくみ、高血圧などが現れるなら急性糸球体腎炎の可能性があります。
また。男性の場合、高熱とともに悪寒・戦慄や倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状が出て、会陰部(肛門と陰嚢の間)が痛むなら、急性細菌性前立腺炎などが疑われます。

発熱(高熱)をともなう主な病気

・インフルエンザ ・細菌性肺炎 ・マイコプラズマ肺炎 ・オウム病
・急性扁桃炎 ・細菌性髄膜炎 ・A型肝炎 ・肝膿瘍 ・胆石症
・胆囊炎 ・胆管炎 ・虫垂炎 ・子宮付属器炎 ・急性腎盂腎炎
・急性細菌性前立腺炎 ・急性白血病

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