脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症は、歩行時のふらつきや、手の震え、ろれつが回らない等の症状がある神経の病気です。
頭部の下側にある小脳の一部が病気になったときに現れる症状を、運動失調症状と呼びます。
脊髄小脳変性症はひとつの病気ではなく、この運動失調症状をきたす変性による病気の総称です。
だから、病気の原因はさまざまです。
足の突っ張り、歩行障害が主な症状である「痙性対麻痺」も、一部の疾患では小脳症状を呈することがあるため、脊髄小脳変性症に含まれています。

 

多系統萎縮症という病気は、運動失調症がその症状の中心になることがあり、多系統萎縮症の一部も脊髄小脳変性症とされます。
この多系統萎縮症を含めて、脊髄小脳変性症患者は、全国で3万人を超えています。

脊髄小脳変性症のさまざまな症状

起立や歩行がふらつく、手がうまく使えない、喋る時に口や舌がもつれるなど脊髄小脳変性症として総称されている病気では、それぞれの種類で、運動失調以外にもさまざまな症状を伴います。
※多系統萎縮症では、運動失調に加えて、パーキンソン症状などが生じます。

運動失調症状(主な症状) 手や指、腕が思うようになった動かない
起立時、歩行時にふらつく
ろれつが回らない
眼球が細かく揺れる
パーキンソン病のような症状 動きが遅くなる
手足の関節が固くなる
歩行時に前のめりになる
自立神経症状 その他 排尿障害
立ちくらみ
脚がつっぱる

脊髄小脳変性症の明確な原因は分かっていません。

非遺伝性脊髄小脳変性症に関して、まだ明確な原因は分かっていません。
しかし、脊髄小脳変性症の多くには、遺伝子は異なっていても、共通する異常や病気のメカニズムが認められます。現在は、遺伝子の働きや、病気になるメカニズムに応じて治療方法が研究されており、全く原因がわからなかった時代とは状況が変わっています

治療は患者ひとりひとりの状況に応じた対処療法が主

脊髄小脳変性症については研究がすすめられていますが、いまのところまだ有効な根治的治療方法は確立されていません。
しかし、まったく治療法がないというわけではなく、症状や進行具合に合わせた「対症療法」と呼ばれる治療が行われています。

  • 薬物療法
    脊髄小脳失調症によって起こる症状に対しては、症状を落ち着かせたり、症状をやわらげるする薬を、患者さんひとりひとりの状況に応じて使用します。

  • リハビリテーション
    現在残っている運動機能を維持し、身体機能の低下を防ぐためにリハビリテーションが有効です。

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