下 痢

便の水分量が多くなり、軟便やかゆ状の便となって出てくる状態を下痢とよびます。
頻繁に便意をもよおし排便回数が増えますが、たとえ1日1回でも便が泥や水のようなら下痢と判断します。
下痢は、腸の運動が異常に高まったり、腸内で十分に水分が吸収されなかったり、水分や分泌液が多すぎると起こります。
下痢は、急性下痢と慢性下痢に分けられ、下痢が2〜3週間以上続く場合は慢性下痢です。
急性、慢性ともに、さらに感染性の下痢とそうでない非感染性下痢に分けられます。

「下痢」に関連する病気のリストはこちらをご覧ください。▶

急性下痢

急性感染性下痢

急性の感染性下痢は、細菌やウイルス、寄生虫などによって起こる病気です。
感染性胃腸炎ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルスや細菌などが胃腸内に感染する事で起こる疾患です。
多くは食品や汚染された水から感染しますが、人やペットとの接触により感染することもあります。
夏は細菌が繁殖しやすいため細菌性が多く、冬はウイルス性胃腸炎が流行します。
感染性胃腸炎の中で、最も多いのがノロウイルスで、感染力も強いので特に注意が必要です。
ノロウイルスは食中毒統計では、毎年1万人以上発生して、実際にはウイルスの検査をしない人が多いので、想定100万人以上の感染があるのではないかと言われています。

非感染性の急性下痢

非感染性の急性下痢の多くは、寝冷えや、食べ過ぎ、飲み過ぎ、食事アレルギーなどの原因によって腸内に炎症を起こし、消化吸収に障害をきたす状態です。症状としては左下腹部痛や“しぶり腹”(便意があるのに便が出なかったり、また便が出ても少量しか出ないと言う状態)などがあります。
軽いものであれは、水分を適度に補い、腸を刺激しないようにしていれば数日で治まります。
しかし、他の症状を伴う場合は医療機関を受診しましょう。

慢性下痢

慢性の下痢は、まれに細菌やウイルスなどによる感染性の場合もありますが、ほとんどは非感染性で、消化器とくに小腸や大腸の病気によって発症します。

潰瘍性大腸炎とクローン病

現在、発症率が増加しているのは、潰瘍性大腸炎とクローン病。
この2つの炎症性腸疾患が挙げられ、消化器系の病気のなかで難病中の難病といわれています。
どちらも原因は不明で、若い人に多く発症します。
潰瘍性大腸炎は、病変が大腸だけに発生し、下痢、血便、粘血便、腹痛、悪化すると体重減少や貧血、発熱などの症状がみられます。
クローン病は口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に発生し、下痢、腹痛、体重減少、全身倦怠感などの症状がみられます。

過敏性腸症候群

慢性下痢は、しばしば精神的なストレスによっても起こります。
過敏性腸症候群は、腸自体には障害はないのに、腹痛とともに突然、下痢が起こります。
ちょっとしたストレスでも心身が敏感に反応し、腸に過剰な運動を起こしやすくする刺激を与えてしまうことが主な原因です。
症状としては、頻繁な便秘や下痢などが2〜3週間以上慢性的に続きます。