頭痛(そのタイプと病気)

日本でおよそ4000万人が慢性頭痛に悩んでいるといわれるほど、頭痛は身近な病気ですが、「頭痛くらい」と軽く考え、医療機関を受診することなく市販の頭痛薬の服用ですましている人がい多いのが現状です。
しかし悪化すると生活に支障をきたしたり、また突然の激しい頭痛は膜下出血の可能性もあり、背後に脳腫瘍など重篤な病気が潜んでいる場合もあるので細心の注意が必要です。

「頭痛」に関連する病気のリストはこちらをご覧ください。▶

頭痛のタイプは、大きく2つのタイプに分かれます。

頭痛そのものが病気の「一次性頭痛」

一次性頭痛とは、他にはっきりとした原因や疾患が見当たらず、頭痛そのものが病気である頭痛です。
片頭痛や、緊張型頭痛、群発頭痛など、慢性的に起こる頭痛がこれに当たります。

他の疾患が原因の「二次性頭痛」

二次性頭痛とは、脳や他の疾患が原因となって起こる頭痛です。
日常に起こる頭痛は、主に風邪や二日酔いが原因ですが、くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、髄膜炎など、命に関わる頭痛も含まれます。

一次性頭痛の多くは、慢性頭痛

一次性頭痛の多くは慢性頭痛で、脳そのものに何か病気があって起こるものではありません。
大きく次の3つに分けられえます。

片頭痛

片頭痛は、脳の血管が、急に拡張することにより、こめかみから目にかけて、片側を中心にズキンズキンと脈打つような痛みが起こる頭痛です。
吐き気を伴うことも多く、また光や音に対して敏感になり、痛みは数時間~3日間ほど続きます。
女性、なかでも比較的若い年齢層(10~40代)に多く発症することから、女性ホルモンも関係していると言われています。
片頭痛が起こる予兆としては、食欲亢進(お腹がすぐに空いて困る)、あくび、感覚過敏、むくみ、興奮、疲労感などが、頭痛の2~3日前から起こります。
また、視野にギザギザした光りか見えるなどの視野障害や感覚障害、運動障害などが、前兆として現れます。

緊張型頭痛

「頭を金属の輪で締め付けられている」とか、「頭に大きな荷物がのっている」ように感じられるj頭痛で、日本人のの頭痛の中で最も多い頭痛です。
口やあごの機能異常、ストレス、不安、うつなどが誘因となって、頭の周りや首の後ろから肩、背中にかけての筋肉が緊張して起こる頭痛だと考えられています。
緊張型頭痛は、男性より女性のほうが1.5倍ほど多く起こりますが、年齢などにはあまり関係なくどんな人にも起こりうる頭痛です。
頭痛は徐々に始まり、多くは1週間~10日ほど続きますが、時には半月以上、ほとんど毎日続くこともあります。
片頭痛のように吐き気や嘔吐、光過敏・音過敏を伴うことはほとんどなく、歩くなどの日常動作でも頭痛が増悪しません。

群発頭痛

1カ月から2カ月ぐらい、ほぼ毎日激しい痛みが眼の奥や上部、または側頭部に起こる頭痛で、眼の奥を激しくえぐられるような痛みが、毎日、夜中や明け方のほぼ同じ時間に1~2時間続きます。
激痛のため、我慢できずに、動き回る人も少なくありません。
頭痛だけでなく、結膜の充血、流涙、まぶたのむくみ、鼻みず・鼻づまり、縮瞳、眼瞼下垂、前頭部・顔面の発汗などの症状を伴います。
まれな頭痛で、患者数は比較的少ないですが働き盛りの男性男性にに多く見られる傾向があります。

二次性頭痛には大きく2つのタイプに別れる

二次性頭痛は、大きく分類すると「急性頭痛」と、「亜急性進行性頭痛」に分かれます。

急性頭痛

激しい頭痛が、数分から数時間で急激に進む頭痛です。

くも膜下出血

くも膜下出血とは、脳の血管が破裂し、くも膜と脳の間のくも膜下腔に出血が起きる症状です。
大半は脳動脈瘤の破裂が原因で、脳の動脈がこぶのようにふくれて破裂し、発症します。
頭痛は頭全体に起こり、発症時には、いきなり非常に強い痛みが起こり、それが持続します。
頭痛と同時に、吐き気、嘔吐、けいれんなどの症状が起こり、出血量が多い時には意識消失を伴うこともあります。
このように危険な脳出血ですが、出血の程度によっては必ず激しい頭痛が起こるとは限りません。
意識障害や、体のどちらか片側の麻痺、吐き気、嘔吐、失語症などがみられることもあります。
頭痛や意識障害などがあれば、程度にかかわらず、専門の医療機関への受診を急いでください。

脳出血

くも膜下出血と似ていますが、脳の細い血管が裂けて(切れて)、脳の組織の中に直接出血するのが脳出血です。
脳出血の場合は必ずしも痛みを伴わないのが特徴的で、意識障害、手足のしびれ、物が二重に見える、吐き気・嘔吐などの神経症状が現れてきます。
このような症状が現れたら、必ず専門の医療機関を受診しましょう。

亜急性進行性頭痛

数日から数週間かけて進行する頭痛を「亜急性進行性頭痛」と呼びます。
はじめはそれほどでもないですが、だんだん痛みが強くなっていくきます。

脳腫瘍

頭の内部にできた腫瘍がだんだんと大きくなり、それに伴い頭痛をはじめ、さまざまな症状を引き起こします。
頭痛が突然に起こることは少なく、数週間から数ヶ月かけてじわじわと頭痛が慢性的に持続します。
一般に起床時に強く、時間の経過とともに弱くなっていきます。
頭痛だけでなく、吐き気、嘔吐、手足のけいれん、麻痺、眼のぼやけ、言語障害、なども現れてきます。

髄膜炎

髄膜炎は、脳の周りを覆っている髄膜が、主に細菌やウイルス、結核、真菌(カビ)などの病原体の侵入のより、感染して発症します。
後頭部が痛んだり、首筋が硬直するなどの症状が現れ、場合によっては意識障害やけいれんを引き起こすこともあります。
嘔吐、高熱といった強い頭痛を伴う「細菌性髄膜炎」を発症すると、命にかかわる場合がるので、注意が必要です。
なお髄膜炎には感染症によるものの他、免疫の作用で自己抗体によって脳に炎症を発症させる自己免疫性脳炎もあります。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫は、軽い頭部外傷の後、1~2ヶ月かけて脳の硬膜とくも膜の間に血液が貯まってくる病気です。
血腫が脳を圧迫し、頭痛や物忘れ、失語症などの精神症状、意識障害、片麻痺や失禁などが現れてきます。
中高年年男性で、飲酒をする人に多く発症します。
はじめは軽い外傷のため忘れてしまうこともよくありますが、これらの症状が頻繁に現れるようなら、慢性硬膜下血腫 の可能性があるので、すぐに専門医を受信しましょう。