腰痛

腰痛とは病名ではなく、腰からくる痛みや張りなど体に表れる症状の総称で、男女問わずほとんどの人が経験する身近な症状です。腰そのものに問題がある場合もありますが、普段の姿勢や、生活習慣、ストレスなどさまざまな要因が絡んでいるので、自分の日常生活を振り返ることで、原因がつかみやすくなります。
血液検査や画像診断などで痛みの原因が特定できるものを「特異性腰痛」、原因がはっきりわからない腰痛を「非特異性腰痛」と呼びます。腰に突然激痛が走る「ぎっくり腰」は原因の特定が難しく、非特異性腰痛です。

「腰痛」に関連する病気のリストはこちらをご覧ください。▶

特異的腰痛

腰痛の原因はさまざまで、原因を特定できるのはわずか15%程度で、多くは原因不明です。
画像検査による診断や診察で原因が特定できる腰痛が「特異性腰痛」です。

腰椎椎間板ヘルニア

背骨と背骨の間にはクッションの役割をする椎間板という構造があります。腰椎椎間板ヘルニアとは、この椎間板が潰されて、内部にある髄核(ずいかく)が後方に押し出され、神経を圧迫するために痛みが起こる病気です。
椎間板は外側が維輪(せんいりん)と呼ばれる軟骨組織で、内部は水分をたくさん含んだゼリー状の「髄核」でできています。加齢などにより線維輪が弾力を失うと小さな亀裂が入り、髄核の一部が外に飛び出してしまいます。押し出された髄核が神経を圧迫して痛みが生じるのです。
この状態を放置していると、腰やお尻から下肢にしびれや痛みが広がり、力が入りにくくなります。
腰椎椎間板ヘルニアは、悪い姿勢での作業や、喫煙などにより起こりやすい病気で、20代から40代の働き盛りの男性に多くみられます。

腰部脊柱管狭窄症

脊椎は、椎骨と呼ばれる骨が連結してできています。腰部脊柱管狭窄症は、椎骨や椎間板が加齢により変性したり、異常な骨の突起ができるなどにより、神経が通っている脊柱管が狭くなり、中を通っている脊髄神経根を圧迫する病気です。
歩くと痛み、前かがみになって休むとまた歩ける症状が特徴です。腰痛だけでなく、お尻や足にしびれや痛みを感じることもあります。

骨粗しょう症

主に加齢によりカルシウムが流出して骨密度が減り、骨折しやすくなる病気です。
椎骨は特に影響を受けやすく、圧迫骨折が起こると脊髄神経根が圧迫されて、腰や背中が慢性的に痛くなります。
原因のひとつに、閉経により、骨がカルシウムを吸着する助けをするなエストロゲンの分泌量が減少することが挙げられます。

筋・筋膜性腰痛

スポーツなどで急激な負荷がかかったり、急激に重いものを持つなど、無理な姿勢により繰り返し筋肉に負荷をかけたりすると筋・筋膜性腰痛という病気になることがあります。
通常は数日で回復しますが、寒さで血行が悪くなったりすると強い痛みやしびれを生じるまで悪化してしまう可能性があります。急な強い腰の痛みとして知られている「ぎっくり腰」も、筋・筋膜性腰痛であることが多いとされています。

腰や周辺が痛くなる主な病気

・腰椎椎間板ヘルニア ・腰椎分離 ・変形性腰椎症 ・腰部脊柱管狭窄症
・強直性脊椎炎 ・腰痛症 ・座骨神経痛 ・・骨粗しょう症 ・骨軟化症
・脊椎感染症(化膿性脊椎炎、脊椎カリエスなど) ・遊走腎 ・急性腎盂腎炎
・水尿管症 ・尿管結石 ・子宮筋腫 ・子宮内膜症 ・子宮頸がん ・更年期障害
・尿路結石 ・腹部大動脈瘤・多発性骨髄腫・筋・筋膜性腰痛
・腫瘍(脊椎腫瘍、脊髄腫瘍、馬尾腫瘍など) ・外傷(腰椎骨折、脱臼など)
・変形性股関節症 ・消化器の病気(胆嚢、十二指腸、膵臓など)

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