腹痛(お腹が痛い)

腹痛とは、お腹が痛くなることですが、腹痛を主な症状とするものが、おそらく病気のなかで最も多いのではないでしょうか。
腹痛は胃や腸といった消化器系に起因するものだけでなく、循環器、泌尿器、婦人科領域、筋肉、腹膜などさまざまな器官の変化が原因となっておこります。ほとんど痛みは異常のある臓器の部位に現れるので、どこが痛いかで病名が推測されます。

「腹痛」に関連する病気のリストはこちらをご覧ください。▶

上腹部が痛む場合

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸の逆流によって引き起こされる病気です。
慢性的に空腹時に胸やけがある場合や、呑酸(のどや口の中が酸っぱい、胃の中身が逆流する感じがする)といった不快な症状がる場合、逆流性食道炎が疑われます。特に肥満の人や、高齢で背中が曲がったによくみられます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍はみぞおちの辺りが食事中から食後に痛むことが多く、体の中心よりやや左側が痛む傾向があり、十二指腸潰瘍は体の中心より、やや右側が痛む傾向があり、空腹時、特に早期に痛むことが多い病気です。
どちらも胃もたれ、吐き気、嘔吐、食欲不振、胸やけなどを伴いますが、自覚症状が無い人もいます。胃潰瘍は、40歳以降の人に多く、十二指腸潰瘍は10代~20代の若年層に多くみられます

慢性膵炎

膵臓の慢性的な炎症が続くことで、本来は消化を助ける膵酵素が持続的に活性化され、ゆっくりと自身の膵臓を溶かしてしまう病気。多量に飲酒する方に多くみられ、食後の上腹部から背部の持続的な痛みが特徴です。
一度発症すると完全に治ることはなく、適切な治療で進行を遅らせることが大切。お酒を飲む方は禁酒が最も大切で、脂肪の摂取を抑えることも有効です。

下腹部が痛む場合

膀胱炎

「膀胱」が炎症を起こす病気。尿を一時的に溜めている膀胱に、大腸や直腸などに潜んでいる腸内細菌が繁殖することで、排尿時の痛み、頻尿、急に尿意をもよおして我慢できなくなるなどの症状が見られます。薬剤の影響や、放射線治療の副作用など原因は多岐にわたります。
疲れがたまると免疫力が落ちて、膀胱の中の細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎の原因となります。
女性は男性よりも尿道の出口から膀胱までの距離が近いので、男性より膀胱炎を起こしやすいです。

急性虫垂炎(盲腸)

盲腸に虫垂という5〜10cm程度の突起物があり、この虫垂に炎症が起きる病気。一般的には「盲腸」という呼び名で知られています。初期は食欲不振や吐き気、みぞおちの痛みなどの症状が出ることが多く、徐々に痛みがみぞおちから右下腹部へ移動し、腹膜炎の状態になると高熱を伴います。
幼児期から小中高校生、20代前半くらいまでの若年層で発症率することが多いですが、高齢者までどの世代にも見られる病気です。

痛む場所から考えられる主な病気

■心窩部の痛み(みぞおちあたり)
〔食道〕・逆流性食道炎・特発性食道破裂・マロリーワイス症候群
〔胃〕・胃潰瘍・急性・慢性胃炎・急性胃粘膜病変・胃アニサキス・胃がん・胃軸捻転症
〔十二指腸〕・十二指腸潰瘍
※その他、肝臓、胆道、膵臓の病気などの可能性もあります。
 
■右上腹部の痛み
〔肝臓〕・肝硬変・肝がん・A型急性肝炎・アルコール性肝障害・うっ血肝・肝膿瘍
〔胆道〕・胆囊がん・胆管がん・胆石症・胆道感染症
※その他、胃・十二指腸、膵臓、右腎臓の病気などの可能性もあります。
 
■左上腹部の痛み
〔膵臓〕・慢性膵炎・急性膵炎・膵がん・膵石症
〔胆道〕・胆道感染症・胆石症・胆管がん・胆囊がん
※その他、胃、左腎臓、脾臓などの可能性もあります。
 
■へそ周囲の痛み
〔腸〕・腸閉塞・感染性腸炎
〔血管〕・腹部大動脈瘤
※その他、胃の病気などの可能性もあります。
 
■右側腹部、左側腹部の痛み
〔腎臓〕・腎梗塞・腎膿瘍・水腎症・遊走腎・腎臓結石・腎がん
※その他、尿管の病気などの可能性もあります。
 
■右下腹部、左下腹部の痛み
〔大腸〕・虫垂炎・潰瘍性大腸炎・虚血性大腸炎・大腸憩室・過敏性腸症候群・大腸がん・・クローン病
〔尿管〕・尿管結石
〔女性〕・卵巣腫瘍
 
■下腹部の痛み
〔膀胱〕・膀胱炎
〔男性〕・慢性前立腺炎
〔女性〕・子宮筋腫・子宮付属器炎炎・子宮頸がん・月経困難症・切迫流産・子宮外妊娠
※その他、尿管、大腸の病気などの可能性もあります。
 
■腹部全体の痛み
・腹部大動脈瘤・過敏性腸症候群・急性腹膜炎・感染性腸炎

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